浄化槽の書類は県で違う 茨城・埼玉・千葉を比べてみた

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浄化槽の書類をアプリにしようとして気づいたこと

浄化槽の書類は、県によって名前も項目もかなり違います。質問に答えるだけで浄化槽の書類ができるアプリを作ろうとして、改めて比べてみて気づきました。

下水道が来ていない地域で家を建てるときは、確認申請に浄化槽の書類を付けます。毎回同じような作業なので、簡単に作れる道具があれば便利だと思ったのがきっかけです。

そこで、私がよく書類を出している埼玉県・千葉県・茨城県の3県について、これまでの書類を並べて比べてみました。すると「浄化槽の書類はこう書く」と一言では言えないくらい、違いがありました。今日はその発見を共有します。

書類の名前から、もう違う

まず驚いたのは、書類の名前からして3県でバラバラだったことです。

  • 茨城県:「浄化槽明細書」(様式第3号と別紙)
  • 埼玉県:「浄化槽に関する調書」(表と裏の2面)
  • 千葉県:「浄化槽調書」(建築基準法施行規則にもとづく標準書式)

「明細書」と「調書」で名前が違うだけでなく、宛名や日付の欄があるかどうか、何枚の紙になるかも違います。茨城県の明細書は宛名と提出日から始まりますが、埼玉県と千葉県の調書にはその欄がありません。

3県の項目を並べてみると

書く項目も、県ごとにかなり違いました。とくに放流先と放流水の水質は、書く場所そのものがある県とない県があります。

項目茨城県(明細書)埼玉県(調書)千葉県(調書)
放流先側溝・河川・湖沼・海域・地下浸透・その他から選ぶ欄なし側溝・水路・雨水管・その他から選ぶ
放流水の水質BOD・窒素・りんBODと除去率のみBOD・全窒素・全りん
認定番号型式認定の番号を1つ認定の種類ごとに3段型式認定番号と型式適合認定番号の2つ
工事業者氏名と登録・届出番号住所と氏名氏名、登録番号、浄化槽設備士の氏名と免状番号
着工予定日ありなしなし
便器の数・管の径や勾配なしありなし
流域の区分別紙で選ぶ(霞ヶ浦流域など)なしなし
一緒に出すもの環境保全に関する誓約書、法7条検査の手数料の写し、委託契約書の写しなど調書を正本に3部、副本に1部見取図、配置図、人員算定書、検査手数料の納付書の写しなど

同じ「浄化槽」の書類でも、先にそろえておく情報が県によって変わる、ということです。埼玉県なら便器の数や配管の勾配、千葉県なら設備士の免状番号、茨城県なら放流先と流域を先に確かめておくと、あとが楽になります。

人数の数え方は同じ。でも書き方に違い

浄化槽の大きさ(何人槽にするか)を決める人数の算定は、3県とも「JIS A 3302-2000」が基本でした。千葉県は、県の浄化槽取扱指導要綱で「JIS A 3302-2000により算定すること」とはっきり決めています。

住宅の場合、JISの決まりは次のとおりです。

  • 延べ面積が130㎡以下:5人
  • 130㎡を超える:7人
  • 台所が2か所以上で、かつ浴室も2か所以上:10人

二世帯住宅が10人槽になるのは、この3つめの決まりが根拠です。

ただ、埼玉県の資料では住宅を「130㎡未満は5人、130㎡以上は7人」と書いていました。JISの「130㎡以下」とは境目の書き方が少し違い、ちょうど130㎡の家だけ結果が変わります。めったにないケースですが、該当しそうなときは提出先に確認しておくと安心です。

また、住宅以外は用途ごとに計算式が決まっています。たとえば事務所は「延べ面積×0.06」(業務用の厨房があれば0.075)、集会場は「×0.08」、工場は定員に係数を掛けます。似た用途でも係数が少しずつ違うので、思い込みで数字を使い回さないように、私も今回JISの表を確かめ直しました。表にない用途は「表に準じて算定する」ことになっています。

場所によって、選ぶ浄化槽そのものが変わる

書類だけでなく、設置する場所によっては、使える浄化槽の種類まで変わります。

茨城県の霞ヶ浦流域では、霞ケ浦水質保全条例により、平成19年10月から窒素やりんを取り除ける「高度処理型」の浄化槽が義務になっています。茨城県の明細書に流域を選ぶ欄や窒素・りんの欄があるのは、こういう理由なんだと納得しました。

千葉県も、窒素やりんの基準がある湖沼や東京湾に流れる地域では、高度処理型を設置するよう努めることになっています。埼玉県は、県内の川が東京湾に流れるので、窒素やりんを取る型も選べるようになっています。

同じ「5人槽の住宅用」でも、場所が変われば選ぶ機種が変わり、費用も変わります。設計のはじめに確認しておきたいところです。

「浄化槽はこう」と一概には言えない

今回比べてみていちばん感じたのは、浄化槽の手続きは「どこに設置するか」で中身が変わる、ということです。書類の名前も、書く項目も、一緒に出すものも、選べる浄化槽も、県や地域ごとに違います。

だから、経験のある県のやり方をそのまま別の県に当てはめると、書き漏れや確認漏れにつながります。私自身も、これまでの書類を見直すと、人槽と汚水量の数字がそろっていないところを見つけて、いい振り返りになりました。

設置場所が決まったら、まず次の3つを確かめておくと安心です。

  1. その県(市)の書類の名前と、最新の様式
  2. 放流先と、その地域に高度処理型の決まりがあるか
  3. 一緒に出す書類と部数

同じ県の中でも、市町村や特定行政庁が独自の取扱いを決めていることがあります。最後は提出先の案内で確かめるのがいちばん確実です。

アプリを作るときに気を付けたこと

比べてわかった違いを、アプリの中でどう扱うか。次のことに気を付けて作りました。

  • 県ごとの書式で出す:県を選ぶと、その県の書類の名前と項目で書類ができます。茨城県なら流域と放流先、埼玉県なら便器の数や配管、千葉県なら設備士の免状番号の欄が出てきます。
  • メーカーと認定番号はアプリに入れていない:機種や認定番号は変わることがあり、取り違えると大きな間違いになります。お手元の認定書を見て入れてもらい、よく使う機種は自分用に登録できるようにしました。
  • 人数と汚水量の食い違いを知らせる:人槽と日平均汚水量の数字がそろっていないときは、その場で注意が出ます。私自身が書類を見直して見つけたつまずきを、そのままチェックにしています。
  • 場所による決まりを知らせる:茨城県で霞ヶ浦流域を選んで窒素の値が入っていないときは、高度処理型の決まりについて注意が出ます。
  • 境目の数字は直せる:住宅の「130㎡」の境目や、1人あたりの汚水量は設定で変えられます。提出先の扱いに合わせて使えます。
  • 例の数字の消し忘れを防ぐ:最初から入っている例の数字は、書き換えるまでオレンジ色で表示します。
  • 建築士の記名を忘れない:物件名称を書類の上に、建築士事務所と建築士の情報(建築士法第20条の記名)を下に入れます。一度入れれば、次からは自動で入ります。
  • 提出日は空欄にもできる:「空欄にする」を選ぶと「  年  月  日」と出るので、提出する日に手書きで入れられます。
  • 入力した内容は外に出さない:インストール不要で、ブラウザで開くだけで使えます。入れた内容はそのパソコンの中にだけ保存し、インターネットに送ることはありません。保存はExcelとPDFから選べます。

浄化槽書類ナビを公開しました

今回の比較をもとに作ったアプリ「浄化槽書類ナビ」を、BOOTHで公開しました。茨城・埼玉・千葉から県を選んで質問に答えていくと、その県の書式で浄化槽の書類ができます。

ご注意

この記事は、私がこれまでに提出した書類と、公開されている資料をもとにした参考情報です。様式や取扱いは変わることがあるので、実際の手続きでは提出先の最新の案内をご確認ください。記事の内容に関する個別のご質問・ご相談は受け付けておりません。

参考にした資料

この記事について

この記事は参考情報として公開しています。内容の正確さには注意を払っていますが、制度や法令は改正されることがあり、個々のご事情によって扱いも異なります。実際のご判断は、必ずご自身で公式情報や所管の窓口をご確認ください。本記事をもとにした行動によって生じた損害について、当社は責任を負いかねます。

また、記事の内容に関する個別のご質問・ご相談は承っておりません。

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