茨城県開発ではよくある話。蒸発散装(じょうはつさんそう)とは。

茨城県境町にあるT様美容室の工事が開始しました。(これは元々2016年に書かれた記事で、2023年に再編集されたものです。)開発案件が絡むため、浄化槽、蒸発散装置、雨水桝が監理の主要な焦点となります。都市部以外では下水道が未整備の地域が少なくないので、このような場所では合併浄化槽と蒸発装置が必要となります。近年では利用率が減少してきていますが、依然として需要は存在します。それでは少々マイナーな蒸発散装置について、現場の写真を見ながら詳しく見ていきましょう。

蒸発散装置についてのお問い合わせが意外にも多いのです。その理由は、このブログを通じて、読者の皆様が弊社を見つけていただけるからのようです。それでは、具体的な現場の実例を基に、蒸発散装置について詳しく説明していきたいと思います。

下水が通っていない地域もある

地域によっては、まだ下水道が整備されていない場所もあります。特に市街化調整区域ではその数が多いかもしれません。このような場所では汚水を下水道に放流することができません。したがって、敷地内で処理を行う必要があります。

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下水がないので合併浄化槽を設置する

合併浄化槽の設置にあたっては、主に利用者数や排水量を考慮に入れた適切な容量を計算することが重要です。この計算は非常に簡単に行うことができます。以下にその方法を示します。

 

利用者数の計算:

一般的に、1人当たりの排水量は約200リットル/日とされています。したがって、利用者数を推定することで排水量を算出することができます。

例えば、家庭の場合、家族の人数が利用者数となります。一方、ビジネスの場合(例えば美容室のような場合)では、一日の平均顧客数や従業員数などを考慮に入れる必要があります。

容量の計算:

推定した排水量に基づいて浄化槽の容量を決定します。この容量は排水量の数倍になることが多いです。通常、浄化槽の容量は排水量の5倍以上であることが推奨されています。

したがって、例えば10人利用の場合、排水量は200リットル/人×10人=2000リットル/日となります。これに5倍の容量を考慮すると、浄化槽の容量は少なくとも2000リットル×5=10,000リットル以上が必要となります。

 

ただし、これは非常に簡易的な計算方法であり、具体的な浄化槽の選定には専門的な知識と経験が必要です。また、地域や建物の特性、地元の法規制なども考慮に入れる必要があります。したがって、具体的なプランを立てる際には、必ず専門家の助けを借りるようにしてください

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この美容室では18人用の浄化槽を導入しています。店舗の規模に合わせて、必要な容量が大きくなっています。

浄化槽は排水を処理する装置で、そのサイズは家庭用の小型から大型のものまで様々です。一部は車の通行が可能な設計になっていますが、敷地に余裕がある場合は経済的な方法として車の通行が不要なタイプが適しています。また、浄化槽のメーカーも様々で、クボタ、フジクリーン、ニッコーといったメーカーの製品が多く見られます。メーカーのウェブサイトを参照し選ぶことも一つの方法ですが、専門の設備業者に相談し、適切なメーカーを選ぶのがより効率的です。検査も行われるため、設計図と現場の浄化槽の設置状況が一致していることが重要です。

浄化槽から蒸発散装置へ接続します

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そして、こちらの大きなカプセル状の装置が蒸発散装置です。処理容量を満たすために、2台を一組として使用しています。大きなカプセルが地面に並べられていますね。下部には穴が開いています。このカプセルは縦向きに設置されています。

 

蒸発散装置とは、浄化槽などから排出される処理水(浄化水)を自然状態で蒸発させるための装置のことを指します。特に下水道が未整備の地域で使用され、浄化槽からの排水を地中深くに浸透させる代わりに、地上部で蒸発させることによって地下水の汚染を防ぐ役割を果たします。

この装置は、排水を地表に散布し、太陽の熱によって蒸発させるという原理で動作します。浄化水は装置の内部を通じて上昇し、装置の上部にある多数の小孔から外部に放出されます。ここで、水分は太陽の熱と風によって蒸発し、残留物質は装置内に残ります。

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ズームしてみるとこのようになっています。今回は敷地に余裕がありましたので問題なかったのですが、配置計画を立てる際には、浄化槽と蒸発散装置のサイズを確認し、敷地内で必要なスペースを予め確保することが重要です。一度建物の配置が決まってしまうと、後からの変更は困難になります。

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設置には深く掘削する必要があります。その深さゆえに、これは決して簡単な作業ではありません。そのため、設備工事には適切な予算を見込んでおくことが重要です。土地を購入する際には、必要なライフラインが整備されていることを確認しましょう。特に重要なのは、給水、下水、そして雨水の処理です。

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蒸発散装置のメーカーについて

当時使用した具体的な商品名は記憶にないのですが、確か次のような製品だったと思います。より具体的な参考のため、メーカーのホームページもご紹介いたします。

http://www.nikko-r.co.jp/service1.html

日光レジン工業株式会社

ライフラインの理解

今回は蒸発散装置について、実際の現場からのエピソードを交えてご紹介しました。下水道が未整備の地域では、蒸発散装置の役割は非常に大きいものです。設置から維持管理まで、初めての方には少しハードルが高いかもしれませんが、それが環境保護につながる大切な一歩です。

そして、私たちが暮らす地域のライフラインを理解することは、地域への愛着や生活の安心感につながります。これからも、蒸発散装置や浄化槽などの設備について学んで、適切に利用・管理していきたいと思います。

今日の話が、皆さんの少しでも参考になれば嬉しいです。もし何か質問や疑問があれば、いつでもお気軽にお問い合わせくださいね。

 

株式会社WakanaDesign一級建築士事務所

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株式会社WakanaDesign一級建築士事務所(ワカナデザイン)
茨城県猿島郡境町下小橋555-13

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Q.どんな設計事務所?
A.茨城県境町に拠点を置き、女性一級建築士が運営する小規模な建築設計事務所。

Q.なにが専門の設計事務所?
A.店舗やオフィス、飲食店など商業建築が専門。空き家対策や、遊休建物の利活用をするリノベーションやリフォームを推進。

Q.設計の特徴は?
A.色使い、植栽、ワクワク、女性的な建築で利益を生む設計を心がける。

Q.実績は?
A.パン屋、シェアーオフィス、ラーメン屋、カフェ、アンテナショップ、食堂、保育園、学童保育、公園、ドッグランなど。茨城県境町および埼玉県春日部市にて見学可能。

Q.仕事のスタイルは?
A.一つ一つ情熱を持って企画設計から監理まで丁寧な仕事を心がけている。

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