ドッグリゾートさかいの現状と展望:設計者からの視点

ドッグリゾートさかいさんの計画は、オーナー運営者である大坂さんの思いを元に作成した、以下の提案書から始まりました。(これは2019年3月のものです) わんちゃんと飼い主さんのための行楽地としてだけではなく、保養の意味合いも含まれており、老犬の過ごし方を考えるきっかけの場です。さらに、私たちが仮で提案した名称も採用されました。ではこの施設の現状と展望を設計者が取材しましたので、ぜひご覧ください。

ドッグランの設計

設計した際、私が特に重視した点は、大坂さんのビジョンを尊重しながら、1000坪という広大な敷地を効果的に区画分けし、それぞれの区画が独自の特性を持つようにすることで、ワンちゃんたちがワクワクする空間を作り出すことでした。もちろん、私自身もドッグランの計画は初めてでしたので、調べたり他の施設を観察しながら、楽しんで計画させていただいた思い出が懐かしいです。

 

人気のドッグラン『ドッグリゾートさかい』ができるまで。圏央道『境古河』ICより車で10分のところに1000坪超えのドックランを設計。

▲当時のブログ記事

 

4年が経過したドッグランの現状を取材した

弊社の事務所からほんの数歩のところに位置するドッグリゾートさかいさんは、非常に熱心に経営されていると感じていました。SNSも積極的に活用されており、県外からのお客様も多く、また、頻繁にオフ会などのイベントが開催されていることから、その動向には常に注目していました。私自身、設計したら終わりではないという信念を持っていますので、その後の進捗や今後の展望を見てみたく、大坂さんに取材させていただくことをお願いしました。今回はその様子をまとめておりますので、是非ご覧いただきたいと思います。

 

Q: (私)2019年3月に弊社で設計をさせていただいたドックリゾートさんですが、最初は色々な苦労がありましたよね?

A: (大坂さん)そうですね、最初は本当に大変でした。私たちの敷地は1000坪もあるので、ただでさえコストがかかる塀を建てるだけでも予算が大幅にかかりました。そのため、施設を一気に整えることができず、少しずつ改善していくしかありませんでした。
しかし、その点については染谷建設工業さんの協力が大きかったです。私たちの予算の制約を理解して、できるだけコストがかからないように工夫をしていただきました。さらに、私たちのプロジェクトは家族、特に祖父から大反対されました。工事を始めようとすると、彼はその工事を止めてしまったこともありました。その時、私はもう駄目だと感じました。でも、その状況から脱出するためには諦めてはいけないという気持ちになり、それが私を前に進める力となりました。

Q: (私)そのようなスタートでしたが現在のおじいちゃんはどのようなスタンスですか?

A: (大坂さん)おじいちゃんは今では、ドックランの除草や管理を積極的に手伝ってくれています。毎日の生きがいになっているようで、それと一人暮らしなのでドックランに来ることがコミュニケーションの場にもなっています。それがまた私たちにとっては安心感を与えてくれています。ここに来ているということは、元気に活動している証拠だからです。

Q: (私)大きなU字溝をひっくり返してトンネルにしたあの場所を、活用されているのをInstagramで拝見するのですが、ワンちゃんたちは喜んでくれていますか?

A: (大坂さん)はい、そのトンネルは大成功でした。当初はU字溝の上にかぶせた土の山が削れてなくなってしまったので、少々心配しましたが、結果的には良かったですね。そのトンネルの中は広くて涼しく、人間が入って涼んでいるくらい過ごしやすいんです。
そして、わんちゃんたちはそのトンネルが大好きです。特に高い所を好む犬たちが、すぐに上に登って寝たりしています。犬たちの好きな場所は大体一緒なので、そのトンネルは常にわんちゃんたちで賑わっています。

 

Q: (私)現在の状況について伺いますが、訪れる度に、屋根が増えたり、ベンチやお花が増えたりと進化していて素敵ですね!

A: (大坂さん)はい、その通りです。私たちは常にドックランをより良い空間にするために改善しています。しかし、そのためには当然コストが必要となり、すべてを一度に実現することは難しいです。
そんな中で、お客様からの協力が大きな支えとなっています。お客様たちは色々なアイデアを出してくれたり、自ら手を動かして改善に協力してくれたりしています。それは私たちにとって大きな助けとなり、感謝の気持ちでいっぱいです。
とはいえ、ドッグランにとって最も重要なのは「日陰」だと考えています。わんちゃんたちが遊ぶ中で、休憩できる涼しい場所が必要ですから。そのため、簡易的なパイプを組んで屋根を覆ったり、当初植えた樹木が大きくなって良い日陰を作ったりしています。
これからもお客様の協力を得ながら、ドックランをより良い空間にしていきたいと思っています。

Q: (私)キッチンカーが来ている様子を見かけるのですが、お客さんとしてはそういった楽しみもありますね。また、イベントが頻繁に行われていて活気を感じます。

A: (大坂さん)そうですね、ドックランを訪れるだけでなく、さらなる楽しみを提供することで、お客様にとって更に魅力的な場所にしたいと考えています。その一環として、キッチンカーを毎週日曜日に呼んでいます。ちなみに、明日はベトナム料理のキッチンカーが来ます。
キッチンカーを取り仕切っている方とは既に知り合いで、ドックランを更に盛り上げるための協力関係を築いています。

Q: (私)大坂さんは、当初からドックランが最終着地点ではなく、その先の展開を視野にいれていましたよね。その話を改めてお聞かせください。

A: (大坂さん)はい、その通りです。ドックラン運営は一見すると利益を上げるのが難しいビジネスです。しかしながら、私の視点はもっと広く、ペットとその飼い主のライフスタイル全体を考えています。
その一環として、「ペットと一緒に暮らす家」そして、ペットの一生を見守ることができる「ペットのお墓」も視野に入れています。さらに、私自身が看護師として活動している経験を活かし、「動物の看取り」にも力を注ぎたいと考えています。
これらは全て、訪問看護を仕事として行いながらドックランの経営を通じて見えてきた、人間と動物の課題に対する取り組みです。

Q: (私)ペットと一緒に暮らす家、老犬ホーム(看取る家)、訪問看護を受ける側の視点としての家やお墓などのお話、それを設計図でまずは形にしませんか?

A: (大坂さん)その提案、大変うれしいです!私自身、次のステージに向けた準備を進めてきたところなので、具体的な形として設計図を描いてみることは、きっと新たな進展をもたらすでしょう。また、境町で何か新しい事業を始めることができれば、それはさらなる喜びです。

 

結論

設計当初から感じていた大坂さんのペットへの深い愛情は、4年経った今でも変わらず、一貫した姿勢を保ち続けています。彼女の犬たちへの優しさや、ペットオーナーたちとのコミュニケーションの大切さを改めて感じ、私自身もこのプロジェクトに関われたことに深い喜びを感じています。そして、その喜びは大坂さんのドッグランが日々賑わっている姿を見るたびに新たになり、取り組みをこれからもずっと応援し続けたいと思うようになりました。
私ができる応援の一つとして、次のステップのパースを作ることがあります。私の仕事は、魅力的な構想を具現化し、人々にワクワク感を与える形を作り出すことです。最近は、明確なコンセプトを持ったお客様(特に女性が多い)が増えてきており、そのような方々と会話をすることで、私自身も成長する機会に恵まれています。似たような価値観を持つ人々は、自然と集まるのかもしれません。
私の人生において、このような価値観を共有する素晴らしい人々と出会えるよう、常にアンテナを高く保つことが大切だと再確認しました。大坂さんのプロジェクトは、これからも更なる進展を遂げていくことでしょう。そのプロジェクトの動向を今後も追い続けていただけたらと思います。
これからのドックリゾートさかいさんの更なる発展を楽しみにしています

さいごに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。ドッグリゾートさかいさんは茨城県境町に位置しています。日曜日はキッチンカーが来て賑わっていますので、ペットを飼っていない方でもぜひ遊びに行ってみてください。また、インスタグラムをフォローすることで、オフ会などのイベントや最新情報をチェックできます。どうぞフォローしてみてください。

ドックリゾートさかい

茨城県猿島郡境町下小橋554−17

こんにちは、一級建築士の鈴木祐子です。株式会社WakanaDesign一級建築士事務所の代表を務めております。茨城県境町に拠点を置き、建築設計のプロフェッショナルとして21年目に突入いたしました。真剣さと遊び心の絶妙なバランスを大切にし、魅力的な空間をデザインしています。

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株式会社WakanaDesign一級建築士事務所(ワカナデザイン)
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Q.どんな設計事務所?
A.茨城県境町に拠点を置き、建築設計のプロフェッショナルとして21年目に突入いたしました。真剣さと遊び心の絶妙なバランスを大切にし、魅力的な空間をデザインしています。

Q.なにが専門の設計事務所?
A.私たちは小規模でありながらも、リノベーションに特化した設計事務所です。お客様のニーズに合わせた柔軟な対応が可能であり、小回りの利くサービスを提供しています。リノベーションプロジェクトにおいては、建物の魅力を最大限に引き出し、新たな価値を創造することに注力しています。

Q.設計の特徴は?
A.色使いや植栽にこだわり、ワクワク感を大切にした建築デザインを提供しています。建物が利益を生むことを追求しながらも、心地よい空間を創造することにも力を注いでいます。

Q.実績は?
A.これまでの実績には、パン屋さんやシェアオフィス、カフェ、アンテナショップ、食堂、保育園、学童保育、公園、ドッグランなどがあります。茨城県境町や埼玉県春日部市などで実際に見学可能な案件もございますので、ぜひ足を運んでみてください。

Q.仕事のスタイルは?
A.個々のプロジェクトに真摯に向き合い、企画設計から監理まで丁寧に取り組んでいます。建築が持つ力を最大限に引き出し、お客様のニーズに応えることを大切にしています。

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