境町PFI事業オハナタウンが出来るまで。完成から着工までさかのぼる

茨城県境町のPFI方式、戸建て住宅事業が令和5年3月に竣工されました。PFIとは、民間の資金と技術を用いて公共施設を建設することを指します。そんな特徴的な事業について、私は半年間、監理業務を担当。その事業の現場での実際の苦労や工夫をぜひご覧ください。

現在ではすでに竣工され、皆様も現場の風景に慣れていらっしゃると思います。そこで、逆に「この場所が、最初はこんな感じだったの?」という感覚で、竣工から着工までを遡る形式で紹介していきたいと思います。

落成式

2023年3月24日 落成式テープカットの様子です。

お祝いの

胡蝶蘭がズラーっと並んでいます。

 

オハナタウン看板

コーディネートを担当した案内看板です。ガレージハウス5棟、住宅12棟、コミュニティー棟で構成されており、これらの施設は、T字型に配置された道路沿いに建てられました。

「オハナタウン」という名前はハワイ語由来で、デザインのモチーフにはハワイ大学のカラーであるグリーンを採用しました。これらのデザイン要素は、境町NUV WORKS(ナブワークス)さんとの打ち合わせを経て形にされていきました。

ナブワークスさんとの共同作業については、こちらのリンクからもご覧いただけます

古民家リノベーション:古さと新しさの調和を追求した漬物屋ワークショップルームの設計事例

設計事務所も5G時代の準備でyoutube動画を作成。作品集第一弾は河岸の駅さかいリノベーション。

【リノベーション動画】起業支援施設「境町S-start up」

 

白線引き(ライン引き)

工期が非常に厳しいため、最後の数日で一気に完成に近づく様子が見受けられます。現場は、その緊張感が溢れる状況となっています。(ほんとうにきつい)

こちらは、白線を描いているところの写真です。落成式の数日前の状況ですね・・・。

白線の作業は思った以上に早く終わるため、少し目を離した隙に終わってしまいます。そのため、私は当日は作業現場に立ち会うことにしました。止まれの位置や駐車場のラインなど、具体的な指示はその場で打ち合わせを行い決定することとなり、緊張感のある状況でした。また、白線は間違えると簡単には消せないので、その分、さらに気をつけなければなりませんでした。(緊張感が止まりません)

 

消火栓の設置

一箇所に消火栓を設置しました。消火栓には路面表示と看板が必要で、歩道の路面塗装が終わった直後には早急にラインを描く必要がありました。塗装がすでに乾いているのかどうかを心配しつつ、一刻も早く作業を進めていく様子でした。

それがこの黄色のラインです。これが「ここに消火栓がある」ことを示す目印となり、目立つようになっています。

これは消火栓の蓋を開けたところです。消火栓は設置後、消防検査を受けなければなりません。現場がバタバタしていおり、忙しくなりましたが、消防署の方々の協力により、無事に検査が完了しました。

 

道路の完成

こちらは道路が完成したところです。全体の様子は最後になってようやく見えてくる感じです。

この数日前に道路の完了検査や開発の完了検査を受けている状況でした。1日も無駄にできない、ほんとうにヒリヒリする気持ちでした。

道路の側溝施工

これが道路の舗装前の様子です。見ていただければ分かる通り、道路工事と建物の施工が同時に行われている状況です。このような進行は珍しく、通常は道路が完成した後に建物が建てられる順序となります。

道路と建物がお互いに干渉しないよう、搬入経路などの交通整理を行う現場監督さんの仕事は、非常に大変そうです。

こちらは道路の側溝を設置している様子です。これにより、道路の形状がよりはっきりと見えてきますね。

道路側溝のマスを設置している様子です。これらのマスは、道路上の水分を排水するための重要な設備で、雨水などが道路上に滞留することを防ぎます。

 

側溝路盤工事

これは側溝の下地の様子です。仕上がりの高さから逆算し、その結果を基に下地の高さを決定していきます。ここまで遡ってくると、それぞれのセクションで丁寧に作業を進めていく様子が見て取れます。

 

同時に基礎工事

建物の基礎が施工されているのと同時に、都度配筋検査を受けていくスケジュールとなります。この段階では、一度に3棟が検査を受けることが多かったです。また、突如として検査が行われることもあったため、境町から気持ち的に離れることはあまりできませんでした。
ガレージハウスと戸建て住宅はそれぞれ別の監督さんが担当していました。そのため、各々の進行状況を見ながらスケジュールを調整し、順調に進めていく必要がありました。無事にクリアしたい一心でした。

 

道路の掘削、養生

今回は、道路工事だけでなく公共下水と水道の施工もありました。そのため、これらの設備を設置するために深く掘る必要があり、建築の経路を確保するために鉄板で養生しました。それぞれの作業がお互いに干渉しないように施工するのは、まさに神業のような技術が求められます。全ての関係者は、当然ながらこの複雑な作業に対し緊張感を持って臨んでいました。(ピリピリムードです)

 

雨水浸透処理施設

これは、開発区域全体の周りに擁壁や塀の施工を終えた状況を示しています。まだ、道路の部分は手が付けられていません。

この時期から早い段階で、各住宅内の雨水排水設備が施工されていきます。各戸ごとに施工を行うため、地道に作業を進めていく状況でした。建物配管の関係で設置場所が現場で変更となることもありました。こういった場面では、臨機応変に対応していくことが重要です。このような変更事項は、最後の開発検査時に申告するため、記録しておくことが必要です。しかし、時間が経つと忘れてしまうこともあります。私の対応策としては、iPhoneのメモ機能を使用し、プロジェクトごとにメモを取っています。時系列で残しておかないと、経緯を忘れてしまうからです。

着工、造成工事

開発の許可が下り、これから始まるぞという状態ですね。なんとも懐かしい光景です。全く何もない更地が、今では見違えるほどに変わりました。

ついに施工前まで遡ってきました。この現場に何度通ったことでしょう。着工前から敷地調査を行い、様々な課題や困難に遭遇しました。しかし、それらの困難が私自身を成長させてくれたことは間違いありません。それを乗り越え、プロジェクトを成功させることができ、本当にホッとしています。このプロジェクトに携わったすべての施工者の皆さん、本当に様々な面でお世話になりました。最後の挨拶さえもちゃんと交わせないほどの慌ただしさの中、気づけば落成式を迎えていました。本当に、事故一つなく無事に落成したことは素晴らしいことだと感じています。

又、境町にこのような機会を与えていただき、心から感謝しております。今回得た経験と能力を、次のプロジェクトに活かしていくため、これからも精進しなければと思います。全力で取り組むことの喜びは、何物にも代えがたいものです。その信念を持続させ、新たな挑戦にも取り組んでいきたいです。

最後に、境町PFI事業に関わらせていただき、本当にありがとうございました。私自身は一旦リフレッシュを取り、また違った形でプロジェクトに参画することになります。安全を最優先に、これからもご健闘をお祈りしております。

こんにちは、一級建築士の鈴木祐子です。株式会社WakanaDesign一級建築士事務所の代表を務めております。茨城県境町に拠点を置き、建築設計のプロフェッショナルとして21年目に突入いたしました。真剣さと遊び心の絶妙なバランスを大切にし、魅力的な空間をデザインしています。

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株式会社WakanaDesign一級建築士事務所(ワカナデザイン)
🏡茨城県猿島郡境町下小橋555-13

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Q.どんな設計事務所?
A.茨城県境町に拠点を置き、建築設計のプロフェッショナルとして21年目に突入いたしました。真剣さと遊び心の絶妙なバランスを大切にし、魅力的な空間をデザインしています。

Q.なにが専門の設計事務所?
A.私たちは小規模でありながらも、リノベーションに特化した設計事務所です。お客様のニーズに合わせた柔軟な対応が可能であり、小回りの利くサービスを提供しています。リノベーションプロジェクトにおいては、建物の魅力を最大限に引き出し、新たな価値を創造することに注力しています。

Q.設計の特徴は?
A.色使いや植栽にこだわり、ワクワク感を大切にした建築デザインを提供しています。建物が利益を生むことを追求しながらも、心地よい空間を創造することにも力を注いでいます。

Q.実績は?
A.これまでの実績には、パン屋さんやシェアオフィス、カフェ、アンテナショップ、食堂、保育園、学童保育、公園、ドッグランなどがあります。茨城県境町や埼玉県春日部市などで実際に見学可能な案件もございますので、ぜひ足を運んでみてください。

Q.仕事のスタイルは?
A.個々のプロジェクトに真摯に向き合い、企画設計から監理まで丁寧に取り組んでいます。建築が持つ力を最大限に引き出し、お客様のニーズに応えることを大切にしています。

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