イナバ物置・ガレージの確認申請時のポイントとは?

茨城県境町のWakanaDesign一級建築士事務所です。先日、お仕事で携わった案件で、イナバの物置(ユニット物置)の確認申請時の注意点をメモしました。弊社の一番人気のブログ記事をアップデートし、ご紹介します。

イナバ物置・ガレージを建てたい方への確認申請時のポイントをご紹介

現在、建材の高騰が続く中、金額が明確なユニット物置・ガレージの需要が増えていると感じます。ユニット建物は効率的に作られており、短い工期での建設が可能なメリットもあります。しかし、ユニット建物の確認申請などの手続きについてはメーカーはあまり関与しないという印象があります。そのため、お客様から「確認申請だけお願いしたい」という要望も時折あります。そんな経験を備忘録としてまとめ、同業者や施主の方々の参考になればと思います。

建物の構造は?

ずばり鉄骨造(S造)になります。確認申請上の構造には軽量であっても重量であっても鉄骨造と記載します。ちなみに、重量鉄骨造と軽量鉄骨造の違いって何なの?と思う方も多いかもしれませんが、鉄骨の厚さが6ミリ以上であれば重量鉄骨造となるようです。厚みで分類されているのですね。又、鉄骨造のS造は、Steel(鋼)を略しています。

こちらは6ミリ以上厚みのある鋼材ですので、分類は重量鉄骨になります。見比べると厚みが全然ちがいますよね。

それでは、イナバの物置の話に戻ります。

▲ 見上げた梁

▲ 柱と梁の接合部

メーカーが構造計算を行っているため、一般的にはその計算結果に基づいて確認申請が行われます。ただし、設計者の名前が記載されるため、申請時には構造の確認をする必要があります。そのため、構造に関する疑問や不明な点がある場合は、メーカーに問い合わせて確認することをおすすめします。メーカーは製品に関する詳細な情報を提供することができるでしょう。

設計者としては、構造に関しても責任を持つことになりますので、確認申請の際には慎重に情報を確認し、必要に応じてメーカーとのコミュニケーションを取ることが重要です。

基礎の配筋は?

基礎に関しては、どのように作れば良いのか疑問に思うことでしょう。具体的な仕様が知りたいと思いますよね。そのような場合は、建物の図面を入手する際に、基礎の図面もメーカーから提供してもらってください。メーカーは参考にしてくださいと言うかもしれませんが、おそらく地盤の状況によって異なることを意味しているのだと思います。軟弱な地盤の場合は、補強が必要になることがありますよね。

基礎の仕様については、地盤の種類や地域の地震動など、様々な要素が考慮されます。メーカーから提供された基礎の図面を参考にしつつ、現地の地盤状況を評価するために専門家に相談することをおすすめします。地盤調査や地盤補強の必要性を判断するために、建築士や構造設計士との連携が重要です。地盤に関する詳細な情報を入手し、適切な基礎の設計と施工を行うことで、建物の安全性と耐久性を確保することができます。

用途は?なにに使うの?

同じ商品でも、お客様が使う用途によって異なってきます。一般的には、駐車場や物置、農業用の倉庫として利用されることが多いと思います。ただし、規模によっては駐車場の場合に内装制限があることに注意が必要です。

茨城県では、駐車場や物置に関しては内装についての制限はありませんが、100平米までの範囲であれば車庫でも物置でも問題ありません。100平米は結構広い面積であり、車3台分のスペースでも100平米を超えることはありませんので、心配する必要はありません。時には、物置と車庫の両方として使用するという場合もあるかと思いますので、そのような場合は使い分けをすることになるでしょう。

イナバ物置などユニット物置の建築基準法上の区分について

確認申請書の用途区分について、以下のような内容です。

確認申請書 第三面 08060:住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるもの

この用途区分は、住宅と事務所、店舗など異なる用途を同じ建物内で兼ねる場合に該当します。例えば、住宅として使用しながら、一部を事務所や店舗として利用する場合に該当します。この用途区分に基づいて確認申請を行うことで、建物が住宅としての機能を持ちつつ、事務所や店舗など別の用途も兼ねることができます。

確認申請書 第四面 08520:倉庫業を営まない倉庫

この用途区分は、倉庫業を営まない倉庫に該当します。つまり、倉庫として使用される建物ですが、倉庫業を営むわけではない場合に適用されます。倉庫としての機能を持つ建物でありながら、倉庫業を営む許可を得ずに使用される場合には、この用途区分を適用することができます。

これらの用途区分は、建物の利用目的を明確にし、確認申請手続きを行う際に用途を指定するためのものです。地域によっては、用途によって建築基準法や制限が異なることがありますので、詳細な情報は確認申請を行う自治体や建築士と相談してください。

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PDF 用途区分表は上記よりダウンロード出来ます。

倉庫ってなにを収納するのでしょうか?

倉庫業は法律的な制約が厳しい場合がありますので、建物の用途を明確にする必要があります。

確認申請時に検査機関からは、収納物についての記載を求められることがあります。この場合、適切な対応としては、「家財道具」という言葉を使用して平面図に記入することです。実際に収納する物品は様々であるかもしれませんが、検査機関は危険物などが収納されていないか確認するために質問してくることがあります。その意味で、「家財道具」という言葉が適切な表現とされています。

建物の用途に関する明確な表現と記載は、確認申請の適正な手続きを行うために重要です。法的制約や安全性に関わる要素を考慮しながら、正確な用語を使用して記載することが求められます。建築士や設計事務所と協力して、適切な表現と記載を行うことが重要です。

大型の物置を建てる場合、車庫として使用しないと明記するよう指摘されることもあります。

実際に使用してみると、車を収納することもあるかもしれませんが、車庫として使用するか物置として使用するかの区分には厳密な制約が存在します。これは内装制限に関連しています。

内装制限には、建物の使用目的や規模に応じて様々な要件が定められています。例えば、物置として利用する場合は内装に特に制限はありませんが、車庫として使用する場合には特定の基準や規則に従う必要があります。このため、車庫か物置かの分類が重要視され、内装制限に関連するために車庫としての使用を明記するよう指摘されることがあります。

建築申請や確認申請の際には、建物の使用目的を明確にし、規定に適合するように記載することが重要です。設計事務所や建築士と相談しながら、適切な用語と表現を選び、内装制限に適合するような申請書類を作成することが求められます。

イナバの物置の図面データをダウンロードしたい。

一般的に、図面関連のデータは、商品が決まっている場合はイナバの公式ホームページからダウンロードできます。公式サイトには各商品の詳細情報や仕様が掲載されており、図面データも提供されている場合があります。

ただし、特殊な要件やカスタマイズが必要な場合、例えばドアや窓の追加など、通常の仕様と異なる場合は、メーカーに直接問い合わせて図面データを入手する必要があります。特に、CADデータ(DXF形式など)を希望する場合は、依頼をすることで手に入ることがあります。CADデータは編集が可能であり、申請用の図面に編集して仕上げる作業が必要になります。

ただし、メーカーから提供された図面データをそのまま添付して確認申請を行うことは適切ではありません。確認申請上の不足事項がある可能性があるため、設計事務所や建築士と協力しながら、必要な情報を追加し、申請用の図面に仕上げる必要があります。

最近相談のあった内容

この記事は弊社のブログでも人気のコンテンツであり、毎月複数の問い合わせが寄せられています。そこで、問い合わせ内容をご紹介させていただきます。

【問い合わせ内容】

  • 登記関係のお仕事の方?から、軽量鉄骨ですか?重量鉄骨ですか?

記事内では、確認申請上は軽量や重量を分ける必要はなく、鉄骨造と記載していることを説明しています。ただし、登記上やお仕事上の要件によって異なる場合がありますので、具体的な情報を確認するためにはメーカーに問い合わせることをおすすめしています。

  • 物置やガレージ以外に使用しても良いのでしょうか?

お客様によって使用目的が異なり、主に駐車場や物置、農業用倉庫として利用されることが多いです。規模によっては駐車場の内装制限に注意が必要ですが、茨城県では100平米以下であれば内装に関する制約はありません。物置と車庫の両方を利用する場合は、用途に応じて区分けする必要があります。

  • 防火地域や準防火地域にイナバの物置は建てられますか?

問い合わせのあったお客様がメーカーに電話で確認したところ、イナバの物置には現在、防火対応の商品は提供されていないとのことです。したがって、防火地域や準防火地域での建築には注意が必要です。具体的な規制や要件については、地方自治体や建築基準法によって異なる場合がありますので、ご自身の所在地の規則や要件を確認することが重要です。

ただし、敷地に余裕があり、隣地や道路から一定の距離(一般的には3~5m)離すことができる場合、建物が延焼ラインにかからないような配置となる可能性があります。これにより、防火対応の商品ではなくとも、建築が可能な場合があります。ただし、具体的な建築可否については地域の規制に従う必要があります。

ヨド物置が防火対応商品を発売しているとの情報がありますね。ヨド物置は防火性能に特化した商品を提供しているメーカーの一つです。防火地域や準防火地域での建築を検討されている場合、ヨド物置の防火対応商品は選択肢の一つとなるかもしれません。

ヨドコウ防火仕様ガレージ

https://www.yodomonooki.jp/products/garage/ravige_bouka/

 

イナバ物置の公式サイト
https://www.inaba-ss.co.jp/monooki/
屋外に設置することができる大型の収納スペースといえばイナバ物置

 

まとめ

まとめとしては、イナバの物置を申請する際には、消防同意が必要になる場合もあり、基礎の構造や建設場所にも注意が必要です。自分で申請を取得する場合は、専門的な知識が必要となるため、専門家のサポートが望ましいとされます。

弊社ではイナバ物置・ガレージなどの確認申請業務を行っていますので、下記の問い合わせフォームから、ぜひご相談ください。

尚、商品に関する質問はメーカーさんに問い合わせくださいませ。

 

確認申請の費用はだいたいこのくらい

確認申請の費用は、敷地の条件や物置・ガレージの規模によって異なるため、見積もりによって決定されます。一般的な目安としては、100㎡以下のユニット物置・ガレージをメーカー図面のまま建てる場合、審査手数料が約5万円弱であり、合計の費用としては20万円程度(税別)と考えられます。ただし、これには完了検査までの費用が含まれており、法定監理に関する費用は含まれていないことに注意してください。具体的な費用については、申請する地域や建築物の特性によって異なるため、詳細な見積もりを行う必要があります。

 

2023年5月7日

㈱WakanaDesign一級建築士事務所

 

コインランドリーを建てる場合のポイントについてご紹介いたします。

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確認検査員からみた 建築確認申請のポイント

WakanaDesign一級建築士事務所(ワカナデザイン)

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☝️ こんにちは!私は一級建築士の鈴木祐子です。株式会社WakanaDesign一級建築士事務所の代表を務めております。茨城県境町に拠点を置き、建築設計のプロフェッショナルとして21年目に突入いたしました。真剣さと遊び心の絶妙なバランスを大切にし、魅力的な空間をデザインしています。

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A.茨城県境町に拠点を置き、建築設計のプロフェッショナルとして21年目に突入いたしました。真剣さと遊び心の絶妙なバランスを大切にし、魅力的な空間をデザインしています。

Q.なにが専門の設計事務所?
A.私たちは小規模でありながらも、リノベーションに特化した設計事務所です。お客様のニーズに合わせた柔軟な対応が可能であり、小回りの利くサービスを提供しています。リノベーションプロジェクトにおいては、建物の魅力を最大限に引き出し、新たな価値を創造することに注力しています。

Q.設計の特徴は?
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Q.仕事のスタイルは?
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