古民家リノベーション:古さと新しさの調和を追求した漬物屋ワークショップルームの設計事例

古民家の魅力は、歴史と伝統が息づくその存在感です。ワカナデザインは、古民家の魅力を尊重しながら現代のライフスタイルに合ったリノベーションを提案しています。古さと新しさの調和を大切にし、歴史的な価値や伝統的な建築手法を尊重しながらも、新しいアイデアと快適さを組み合わせます。以下は、弊社が手がけた実例の一部です。ぜひご覧ください。

古い家の活用方法

古い家には、独特な魅力と個性が宿っています。その歴史的価値や風合いを活かし、新たな可能性を追求することで、魅力的な住空間や施設を生み出すことができます。

築40年くらいの古民家をリノベーションして活用したい。というご相談は非常に多くいただいております。今回は、茨城県筑西市にある人気の漬物屋さんのワークショップルームを設計しましたので、その過程を記事にまとめました。

工事は『新しくしすぎない』が良い

茨城県筑西市の漬物屋さんは、築40年以上の古民家を活用して新たなワークショップルームを作りたいという要望を持っていました。しかし、漬物屋さんの大切な漬け込みの伝統や古民家の風合いを損なわず、『新しくしすぎない』という考え方を大切にしたいという願いもありました。

職人さんはプロなので、どうしてもきれいに納めたいという気持ちが働きます。そのため、古いものを残すよりも張り替えたり隠したりしてキレイにする方向に進みがちです。しかし、私は少し異なるアプローチを好んでいます。古さを活かしつつ新しいものと組み合わせることが魅力的だと考えている設計士です。個人的にも古材やレトロな雑貨に目が行き、魅力を感じています。そのため、施工者さんに対して最初に伝えることがあります。「どうか私の意図を理解していただきたい」という気持ちでお願いしています。そこから設計をスタートさせるのです。

店舗のイメージを大切にする

最初に、ご依頼者様が大事にされる要素や好み、特徴、リノベーションを希望する背景、現在の状況などを分析し、提案を考えます。菜香やさんに関しては、ぬか漬けのぬか色が温かみを持ち、手作り感のある素朴さ、さらに社長がITに詳しいという要素がインプットされました。また、菜香やさんは全国各地の催事で大人気のお店ですので、百貨店の食品売り場を訪れて雰囲気を感じ取ることもしました。これらの情報を基に、お客様のカラーと私のカラーを掛け合わせて提案を考えていきます。

施主の意図を組む

お客様がなぜこのタイミングで行動を起こそうとしているのか、そしてこの事業で何を得ようとしているのか、それが非常に重要だと感じました。ワークショップと言っても、動画配信などを踏まえた一歩先を行くものを目指していました。そのため、撮影映えするポイントを創り出すことが重要でした。また、田舎で行っている良さも残すことを望んでいたので、素朴な雰囲気も大切にしました。

さらに、このリノベーションを見たバイヤーさんが実際に百貨店に漬物を置いた雰囲気を想像できる店舗リフォームという課題もありました。催事から最終的には実店舗を構えることができれば、非常に素晴らしい成果となるでしょう。そんな考えを念頭に、食品売り場の雰囲気を観察しました。

 

 

お客様からいただいた実際の催事の様子を拝見しましたが、とても明るい雰囲気が伝わってきます。特にショーケースにアクリルパネルと照明を加えたアイデアは、社長のDIYによるものだと伺いました。その器用さには驚かされました。

上にどかどかと積んである漬物の様子がおいしそうに見えるコツは、賑やかさと活気を演出することですね。これらの要素を提案に組み込んでいきましょう。

提案のイメージパース

パースだけで想いを伝えるのは結構難しい作業だと思います。頭の中を具体的に表現するのは意外と難しいのです。まずはパースを作成して、全体の構想を説明させていただきました。また、現在の搬入動線を少し変えないといけないことや、将来的には自転車の人が立ち寄れる休憩スペースとして、漬物を気軽に食べられる構想もありましたので、外部空間のご提案も行いました。

店舗リフォームに焦点を当てたご提案も行いました。百貨店を意識しながら、天井の看板が重要な役割を果たします。また、素朴さを演出するために、漬物の木桶や古材を活用したデザインを考えました。

この木桶をバラシて貼っています。

ワークショップの使い方や、人数などをこちらの鳥瞰図でイメージをつかんでいただきます。

いよいよ工事に入りました。

大工さんから頂いた小屋裏の写真は、一般的には見せるものではないかもしれませんが、その場所を見せることで本当に雰囲気が良くなると確信し、お客様に説得して、施工者さんに伝えることができました。大工さんも承諾してくださったことに感謝いたします。小屋裏を見ると断熱材がないことが分かるかと思いますが、熱い夏や寒い冬にも対応できるように、エアコンと天井ファンを活用して対策を講じることにしました。古民家改修においては、こうした割り切りが非常に重要な要素です。

改修前です。

リノベーション前は、暗くて閉鎖感がある空間でした。

この写真は、天井を取り払い、壁を大壁にして石膏ボードを取り付け、床にはフローリングを貼った状態です。また、メインの小屋裏では、梁や束をきれいに掃除し、塗装を行いました。

キッチンが中央に配置されているのは、ここがワークショップや料理教室の指導・撮影場所となるためです。生徒さんが周囲を囲んで見ることができるようなイメージで設計されています。

このアングルでは、背景に和室が見えて映えるスポットとなっています。後ろの透明引き戸には最後にカッティング文字を施す予定です。

さりげなくお店のQRコードをカッティング文字で設置しました。ちなみにQRコードは細かい部分があり貼るのが難しかったですが、確認したところちゃんと読み込むことができました。

 

こちらでは、元々の棚と引き戸を残しながらリノベーションを行いました。素晴らしい雰囲気が生まれました。

ガラス扉付きの棚を活かし、物販の展示に利用しました。その結果、古いものと新しいものが調和し、独自の雰囲気が生まれた空間が完成しました。

床の養生をはがして、リノベーションが完成しました。壁にはお客様がDIYで施した珪藻土が使われており、そぼくな風合いがとても素敵です。また、色はぬかの色をイメージして選んでいます。

そして、ペンダントライトは大きめの工場系のものをチョイス。

社長が天井からプロジェクターで映像を投影して、作り方を実演する動画を作成しています。この方法で作り方を見ることができるのは本当に素晴らしいですね!

また、テーブルにはモンキーポッドを社長が選びました。モンキーポッドがいつからこんなに人気になったのか気になりますね。おそらく、木目が可愛らしいことが人気の一因なのでしょう。

店舗リフォームの方では、室内看板が取り付けられ、完成しました。百貨店の雰囲気はしっかりと演出されているでしょうか?

また、商品を照らすLED照明は施主様がDIYで設置されました。そのDIYの成果は本当に素晴らしいです。照明の効果で商品が引き立ち、魅力的に見えることでしょう。

古民家をリノベーションして活用する際、古いものを活かしつつ新しすぎないデザインが重要です。設計事務所の視点から、茨城県筑西市にある人気の漬物屋さんのワークショップルームを設計する過程を紹介しました。お客様の要望や好み、特徴を分析し、古さと新しさを調和させるデザイン提案を行いました。実際の施工では、古民家の特徴を活かしながらも新しい要素を取り入れ、素朴さと現代的な快適さを両立させました。

記事では、お客様の背景や目標、催事の様子などを紹介しながら、リノベーションのプロセスや提案内容を詳しく説明しました。古いものを活かす一方で、新しい要素を取り入れることで、独自の雰囲気や魅力を生み出すことができました。

また、お客様とのコミュニケーションや施工者との協力も重要な要素であり、お客様の要望を理解し、共感しながら設計を進めることが成功の鍵となりました。さらに、古民家の魅力を最大限に引き出しながら、新しい技術や素材の活用により、より快適な空間を実現しました。

全体として、古いものと新しいものの融合をテーマに、古民家のリノベーションを成功させるためのアプローチや工夫を紹介しました。古さと新しさのバランスを大切にしながら、お客様のニーズに合わせたオリジナルな空間を創り上げることができました。

今後もこの漬物屋さんのワークショップルームが発展し、多くの人々に愛される場となりますように、心から祈っています。古民家をリノベーションする際に大切な要素である「古くて新しい」デザインのアプローチや提案を通じて、新たな魅力が生まれ、さらなる成長が期待されます。

お客様のご要望や好みを大切にしながら、設計事務所としての専門知識と技術を駆使して、魅力的な空間を創り出すことができました。これからもお客様の夢や目標を実現するために、一緒に協力し、創造的なアイデアを提供してまいります。

ワカナデザインとしては、お客様との信頼関係を大切にし、お客様の満足度を最優先に考えながら、より良いリノベーションプロジェクトをお手伝いしていきます。お客様の笑顔や喜びが私たちの最大の報酬です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

こんにちは、一級建築士の鈴木祐子です。株式会社WakanaDesign一級建築士事務所の代表を務めております。茨城県境町に拠点を置き、建築設計のプロフェッショナルとして21年目に突入いたしました。真剣さと遊び心の絶妙なバランスを大切にし、魅力的な空間をデザインしています。

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株式会社WakanaDesign一級建築士事務所(ワカナデザイン)
🏡茨城県猿島郡境町下小橋555-13

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Q.どんな設計事務所?
A.茨城県境町に拠点を置き、建築設計のプロフェッショナルとして21年目に突入いたしました。真剣さと遊び心の絶妙なバランスを大切にし、魅力的な空間をデザインしています。

Q.なにが専門の設計事務所?
A.私たちは小規模でありながらも、リノベーションに特化した設計事務所です。お客様のニーズに合わせた柔軟な対応が可能であり、小回りの利くサービスを提供しています。リノベーションプロジェクトにおいては、建物の魅力を最大限に引き出し、新たな価値を創造することに注力しています。

Q.設計の特徴は?
A.色使いや植栽にこだわり、ワクワク感を大切にした建築デザインを提供しています。建物が利益を生むことを追求しながらも、心地よい空間を創造することにも力を注いでいます。

Q.実績は?
A.これまでの実績には、パン屋さんやシェアオフィス、カフェ、アンテナショップ、食堂、保育園、学童保育、公園、ドッグランなどがあります。茨城県境町や埼玉県春日部市などで実際に見学可能な案件もございますので、ぜひ足を運んでみてください。

Q.仕事のスタイルは?
A.個々のプロジェクトに真摯に向き合い、企画設計から監理まで丁寧に取り組んでいます。建築が持つ力を最大限に引き出し、お客様のニーズに応えることを大切にしています。

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